zer0-san3’s blog

zer0-san3.hatenablog.comの漢字かな混じり墨字文バージョン。

リオちゃんが仕事を辞める話。

 

「うー……もちょもちょ…………うんち……。」


リオちゃんの寝言が聞こえる。なんてことだ。寝言でまで「うんち」とか言うのかこの妹は。

日が完全に出てきた。今、5時半すぎくらいかな? もう6月だし、日がのぼるの早くなったなぁ。きのうの夜から仕事してたから疲れちゃった。

アラームが鳴る。今日リオちゃん早いんだっけ。もぞもぞ、と動く音がする。


「ぅん……? あー……やっべっぞ……。」


リオちゃんがベッドからむくりと身体を起こして、寝起きのかすれた声でつぶやく。


「どした?」


「今日朝礼あるじゃん。いまなんじ?」


「5時40分。」


いつも「明日早い」って言うときこの時間だから、アラーム早めておいたんだけど。これより早いってなったらしらない。


「んーーーーーっ……、」


リオちゃんは大きく伸びをして、こっちに向きなおる。そうして、


「ごじ よんじゅっぷん? ありがとぉ。」


いつもみたいに、ヘラっと笑ってみせた。


こうして寝起きだけはいい妹を毎朝起こして、送りだす。それがわたしたちの、朝の習慣になっている。


「レイちゃん、行ってきまぁす!」


「ん。」


朝から元気だなぁリオちゃん。どこからあんな元気が出るんだろ。

さて、無事に送りだしたことだし、エゴサして、いまから寝るかぁ。

 

 

 

 

「ねぇレイちゃん、あなたお姉ちゃんでしょう?」


わたしを叱る声が聞こえる。


「うん……。」


「お姉ちゃんは、しっかりしなきゃダメ。」


理不尽だ。生まれるのが数分早かっただけなのに。


「だから、そんな男の子みたいなオモチャで遊んじゃいけません。」


なんで? わたしは……レイは、すきなもので、あそびたいだけなのに。


でも、そっか。おねえちゃんは、そんなこといっちゃ、いけないんだ。


「レイちゃんが あそばないなら、リオにちょーらい!」


「リオちゃんは……まぁ仕方ないかなぁ。はい。」


「やったぁ! リオの〜!」


どぉして? レイのなのに。リオはどぉしていいの?


がまんしなきゃ。リオが、いもうとが、ほしいっていってるんだから。


「レイちゃん、おかーさん、いっちゃったねぇ。はい!」


リオがかえしてくれた。


「リオはねぇ、レイちゃんと あそんでるのが、いちばんすき! レイちゃんが、たのしそーに おはなししてるの みるの うれしいもん!」


リオ、……リオちゃん。

 

 

 

 

——よく寝た。なんか懐かしい夢を見た気がする。あんまり覚えてないけど。

もともと寝起きがよくないのもあって、頭がぼんやりしている。もうちょっと……寝…………。


電話が鳴った。リオちゃんだ。

毎日、わたしが起きたかどうか確認するために、昼休みに電話をかけてくれる。


「レイちゃ、起きた?」


「うー……。」


「レイちゃーーーん、起きてーーー」


「うるさ……。」


思わず文句を言う。


「レイちゃん、もう昼! 昼だよ! 起きて、起きて! 起きるんだレイ!!」


「んんっ……! 起っ……き、る!!」


あまりのしつこさに電話を切ろうかと思いつつ起きた。昔から、この妹は元気で、おせっかいだ。


「はーい、おはよー、レイちゃん。」


「………………。」


リオちゃんと違って、寝起きはだれとも話す気にならない。そのことを向こうもよく分かっているからか、そのまま「お疲れさま。じゃあ切るね!」と言って電話を切られた。


お昼。またそのまま寝そうになったけど、エゴサして、冷蔵庫のお弁当をチンして食べて、また作業を再開する。

あ、upd8からメール来てたから返信しとこっと。本業のほうも依頼来てたっけ? あとは休憩がてら動画のネタ探ししてぇ、やるって決まったネタの台本書くでしょー。で、エゴサしてー、昨日のやつの編集も手直しもするでしょー、それからー……。


ピコン!


リオちゃんから、そろそろ帰ることを伝えるLIN○が来て、もう夕方だと気付いた。

夕飯は基本的に一緒に食べることになってる。作業にキリつけて待つかぁ。


あ、積みゲー。1ヶ月も積んでるから今日こそやろうって思ってたのに……まぁ、いっか。

最近全然リオちゃんとも遊んでない気がする。お互い忙しくなったもんなぁ。

 

 

 


リビングで風呂上がりのカルピスを飲んでたら、玄関から音がした。


「たらいまぁ。」


「んー。」


「お、レイちゃんリビングいんのめずらしー。」


「ちょうど風呂上がって……ってリオちゃん、手洗ったら拭いてってば。」


「はぁーい。」


他愛のないやり取りをしながら、2人でリビングのソファに座る。


「今日なに買ったの?」


リオちゃんが買ってきた、セブン○レブンの袋を指差す。今日はねぇ、わたしはラーメンの気分なんだよなぁ。


「なんとなく今日はラーメンの気分かなって。」


こういうときだけ、双子だなぁと感じる。

温めて、それぞれに食べ始める。うま。さすがセ○ン。


「レイちゃんさ、」


一味のキャップに苦戦しながら、リオちゃんが喋り始めた。


「私がさぁ、仕事辞めるって言ったらどうする?」


一瞬、耳を疑う。好きで就いた仕事なのに、辞める、って……


「なんで? 辞めるの?」


疑問が口を突いた。ようやくキャップを外せたリオちゃんは、ラーメンに一味をかけてから、一旦その手を止める。


「んー、うん。YouTubeも収益化条件とっくにそろってんじゃん? だから収益化したら辞めよっかなって。」


様子をうかがうようにこちらをチラッと見られた。


YouTubeから連絡が来ないとなんともなぁ。」


「でもなぁレイちゃん、会社は急には辞められないんや! upd8にも入って、さすがにさぁ忙しくなってきたし、収益化したらもっと忙しくなるでしょ?」


「でもさぁ……、」


煮え切らない気持ちがもたげる。

将来的なことを考えたら、リオちゃんが言っていることは正しい。でも……、

お金のこと。編集技術のこと。そして何より、好きで始めた仕事をリオちゃんが辞めると言っていること。


「私がレイちゃんの手伝いすればさ、動画もいっぱい上げれるし、お金も入ることない?」


「リオちゃんに手伝ってもらってもなぁ……。」


つい、意地の悪い言い方をしてしまう。ケンカになることは分かってるのに。


「なぁにそれ。少しでもさぁ、楽になればいいじゃん!」


「リオちゃんが手伝わなくてもさぁ、わたし1人でもさぁ全然出来るし!」


「そうかもしれないけど、レイちゃん最近全然好きなこと出来てないじゃん!」


「……っ!」


意外なことを言われてびっくりしてしまい、口をつぐむ。

リオちゃんは、言葉を選びながら、ぽつりぽつりと続きを話し始めた。


「……今日から、私もがんばるからさぁ。」

「今はバーチャルYouTuberが一番楽しいなって思うけど、それもレイちゃんがいないとやってこれなかったじゃん。」

「だからさぁレイちゃんにもさ、好きなことしててほしいんだ。」


そう言ってヘラっと笑う顔を見て、


「好きなこと話してるレイちゃんがさ、私、一番大好きなんだよねぇ。」


なんとなく、なぜか思い出せないけど、懐かしい気持ちになった。

 

 

 

 

収益化のメドもついて、レイちゃんから仕事を辞める許可をもらってから、できるだけ動画に参加しようと思っていろいろやっていた。

仕事の合間にネタ探ししたり、バーチャルYouTuber関連のメールの返事をしたり。

編集も独学でやろっかなって本買ったけど、それはよくわかんなくて放置してる。レイちゃんも「仕事辞めたらでいいよ」って言ってたしなぁ。でもホントにいいのかなぁ……。


企画会議にも色々出したけど、結局ほとんどボツ。唯一、P.T.だけは私の希望で押し切った。やってみたかったんだよねぇ、ホラー。


そうこうしているうちに、7月3日。ついにYouTubeから収益化の連絡が来た。マネー! マネーェェェ!!

ごちそう頼んだり、好きなものを買いに行ったりとぜいたくに1日を……あ。大事なこと忘れてた。


「レイちゃん、レイちゃん。」


こういうことはレイちゃんに聞くのが一番だ。


「なぁにリオちゃん。」


「仕事辞める言い訳どうしよ?」


「あぁ、それならさぁ——」

 

 

 


出勤。いつも通り仕事を始めた。

午前中の仕事がある程度終わり、昼休みに差し掛かる頃を狙って、上司に声をかける。


「部長、お仕事中失礼いたします。」


「ん。あぁ、何。」


機嫌が良いようで、珍しくすんなりと応じてくれた上司を目の前に、レイちゃんに言われたことを思い出す。えーっと、なんだっけ? 確かあの時……。


『ありがちなのは、「姉が病気でキトクになってしまい、しばらくメンドーを見なければならないので、仕事を辞めます。」かなぁ。』


『え、もっかい言って?』


『わたしが病気で具合悪いことにしてさぁ、リオちゃんがお世話してくれることになったみたいな。分かんなきゃキーワードだけ覚えてればいんじゃね?』


みたいな感じだったっけ。そうだ、キーワードをメモっておいたんだった。


キトク、姉、メンドー。オッケー、思い出した。

上司に向き直り、事情を説明する。


「奇特な姉が面倒くさいので仕事を辞めます。」


「……おめがさん、ちょっと、あっちで話そっか。」


なぜか別室で話すことになった。

 

 

 


半分以上説教と説得を受けながら、何とかきちんと説明し、事情が事情なだけに3週間で辞めることを了解してもらえた。

良かった、これでレイちゃんのことも手伝えるし、動画にも集中できる。ちょっと胸が痛いけど。


3週間、引き継ぎをしながら、周りにもそれとなく事情を説明しながら、そして何よりも動画投稿に力を入れて過ごした。

ネタもいっぱい考えた。うんちのモデリング案が通ったから、調子に乗ってリアルうんちの3Dスキャンを提案したらめちゃくちゃ怒られた。


いつまでも忙しそうなレイちゃんに、何度か、編集を手伝おうかって、提案もした。

でもそのたびにレイちゃんに、


「べつにいいよ。仕事忙しいでしょ。」


と言って、断わられた。

 

 

 

 

最近のリオちゃんは、ちょっと心配になるくらいがんばってる。

いい大人なんだし、心配するほどでもないかもしれない。でも姉として、妹のことは気にかけなきゃなって。一応。


「ねぇレイちゃん、やっぱりさ、忙しそうじゃん。編集教えてよ。」


「仕事辞めてからでもいいってば。」


「でもさぁ、昨日もカップヘッドだったし、そういう長いやつの編集毎回大変そうじゃん。なんか手伝えることない?」


いつもこの調子だ。

家でもなにか手が空くと、「手伝おうか」と声をかけてくれる。前まで、わたしが1人で作業していても、1人でポケ○ンやったりベッドで寝てたりして好きに過ごしてたリオちゃんが。


「いいって。ぜんぶレイがやるから。……あっww」


しまった。編集で動画観すぎたかな……ふだんの生活で一人称自分の名前とか、恥ずかし……。

まぁリオちゃんも笑ってくれるでしょ。編集の話もそれでお流れになるだろうし。


「……レイちゃんさぁいっつもそうじゃん。」


そうはいかなかった。


「えっなに?」


「いっつもそうやって1人で無理してさぁ。確かに私じゃ頼りないかもしれないけど、もうちょっと頼ってくれてもよくない?」


「いや、ホントに1人でだいじょうぶだよ? あと1週間でしょ?」


「でも……!」


粘るリオちゃんにどうやって説得するか考えてしまう。


「レ、……わたしはお姉ちゃんだからさぁ、だいじょうぶだから。ほら、早く風呂入って寝、」


「お姉ちゃんなんて思ったことない!!」


急に大きな声を出すリオちゃんにびっくりして手が止まる。

えっ、リオちゃんってそんな大声出す子だっけ……というか何にそんな怒って、


「……レイちゃ、のこと、お姉ちゃん、なんて、思ったことないし、」


え、リオちゃん、泣いてる?

ふと振り返ると目が合った。泣いてる。


「そりゃさ、……いちおー、Twitterとか……だとっ、姉、とか言ってるけど、だっ……て、双子じゃん……!」


目をそらさずに、必死に訴えかけてくる。


「……ちょっと、トイレで頭冷やしてくるわ。おっきい声出してごめん。」


そう言い残して、リオちゃんは部屋を出た。

さすがに、そのままにしておくのは気がひけるので、少し間を置いてトイレに向かう。


リオちゃんは、トイレの中で歌っていた。これはあれだ、前にソロで歌ってみた出してた、『シルエット』だ。

途中まで鼻歌だったけれど、次第に小声で歌い出す。


「覚えて、ないことも……たくさん、あったけど……ぉ〜お……」


トイレのドアに背中を預けて、しばらく聴いていた。

何か気持ちを落ち着けるとき、それから盛り上げるときとかに、わたしたちはよく歌を歌う。今も、たぶんそういう気分なのかなぁ。


「リオちゃーん……。」


最後まで歌い終わったタイミングを見計らい、軽くノックをする。


「……、レイちゃん、ごめんねぇ。」


リオちゃんに先に謝られてしまった。

でも、わたしが悪かったんだよね。リオちゃんを妹扱いして、子ども扱いしてた。

ぜんぜん違うのに。わたしたち、双子なのに。


「わたしのほうこそさぁ、ごめんね。」

「これからは、リオちゃんにもバンバン頼ってさ、動画編集とかもさぁ、やってもらおうと思ってるから。」


「……うん。ありがとぉ。」


怒っても泣いてもない、落ち着いた声だ。むしろ感謝するのはわたしのほうなんだけどなぁ。


「じゃあさぁ、もう出てきてよ。」


今日のところは、これで仲直りってとこかな。よかったよかっ


「今、うんこしてる。」


「うんこしてんの!?www」


予想外の答えに吹き出してしまった。


「のんきなやつだなぁあんた!www」


「「wwwwwwwwwwww」」


こうして今日は平和に終わった。ちなみに、この泣いたエピソードはヨルタマリで暴露した。

 

 

 


しばらくして、リオちゃんの退職の日がやってきた。

送別会で飲んで帰ることは聞いていたから、しばらく待っていると、玄関のドアが開く。


「おっかえり〜。結構早かったじゃ、うわっ、」


「レイちゃ〜ん。」


酔った勢いで抱き着かれて、支えきれず壁にもたれかかる。1人で歩けないくらい飲んじゃったの?


「ちょ、自分で歩け!」


「ん、ちょっとフラフラするかもぉ。レイちゃん大好きぃ。」


「もー、はいはい……。」


今日くらいはしょーがないか、と、甘えられるまま、軽く抱き返した。今日まで、本当によく頑張ったもんねぇ。

リオちゃんは、そのまま話を続ける。まるで顔を見せたくないみたいに。


「レイちゃん、大好きだよ。いっつもさ、ありがとぉね。心配もしてくれて、やりたいこともさせてくれてさぁ。」


いつになく声が真面目だ。


「たくさんさぁ、我慢してくれたよね。毎日、家で待っててくれて、ありがとぉ。」


そういえば、顔はよく見えないけど、酔っ払いほど耳は赤くない。こいつ、ホントは酔ってないな?


「急に仕事辞めるって言ってさ、不安にさせてごめんね。」


酔いにかまけたフリをして、泣く子をあやすように語りかけてくる。


「だからね、レイちゃん、」


ああ、そっか。顔を見せたくないんじゃない。


「そのまま、泣いてていいよ。」


顔を、見ないでいてくれてるんだ。


どうしよ、何か返さなきゃ。何か、何か言ってあげなきゃ。


「リオちゃん、」


「うん。なぁに、レイちゃん。」


大好き、ありがとう、ごめんね。全部言ってくれた。でも胸が詰まって出てこない。代わりに、ぎゅっと抱き返す。

もういいや。全部全部伝わってしまえ。どうせ、リオちゃんにはお見通しなんでしょ。


「——うん。」


何を了解したか分からないけど、きっと、たぶん、伝わった。

猫の耳を撫でるように、ぴょこぴょこを触られる。ゆっくりと、わたしから離れながら、リオちゃんは口を開く。


「……レイちゃん、私——」


ン゙ン゙、という軽い咳払いが聞こえる。


「リオはさぁ、」


両手を広げて、いつもの、撮影用の声で、


「レイちゃんとさ、楽しいこといーっぱいできたらなって、思ってるよ。」


それは、宣言だ。普段自分からは言いださないリオちゃんが、仕事を辞めてまでしたかったこと。


「——うん、いーっぱい、楽しいことやろう……!」

 

 

 


そのあとわたしは、ツイッターのbioを変えた。

リオと一緒に楽しむ。これからもずっと。

 

人生の具合が悪い話。

こんにちはお久しぶりです。

ゼロサンです。

 

今日は、キズナーさんやおめが団が読むには重い(そうでなくても重い)お話。

途中で具合悪くなったらブラウザバック。こいつ気持ち悪いなと思ったらブロック。よろ。

 

ちょっとここ数日具合が悪いです。

ただ単に体調が優れないというより、人生の諸々について推しを通じて考えるフェーズに突入してしまい、それが体調に影響しているというか。

 

おめシスのSSを書いていますが、これもそのフェーズに入ってから書き始めたので、あまりよろしくない。

筆も進まないし、現実のおめシスを知れば知るほどにその仲の良さに青ざめて書ききれなくなっていく。

尊い。けど尊い以上にぶち当たってしまうものが大きすぎる。

 

こういうことは、KizunaAIちゃんのときにも感じたことだったんですが、当時はつぶやくのも控えていたこと、バーチャルYouTuberが好きなフォロワーさんやフォロイーさんも少なかったことから、ツイッターにおいてはそう大した影響を受けませんでした。

今はなるべくこの最推しには触れないようにしていますし。好きだから触れるけど。

 

「愛」「絆」「家族」「親子」「きょうだい」「恋人」「友達」……有り体に言って人間関係において、あまりにも失敗が多すぎる。

 

特に「愛」と「家族」。

俺はいわゆる虐待家庭ではありませんが、少々根深い問題を抱えていて、現状それを言葉にすることが難しいと感じています。

 

これ、見てもらえば分かると思うんですが、まんま今推してる人たちが表現していることなんですよね。

意識しているかしていないかは置いておくとして。

 

生まれからして人間関係に失敗しすぎている。だから、気持ち悪くて触りたくもないと感じてしまうのに、喉から手が出るほどほしいというものがあって。

そういうのを、ふとした瞬間に感じてしまい、真っ青になってしまう。

 

だいたい、推しじゃなくても、日常的に誰かとの間でそれを感じてしまうと、人間関係に爆弾設置して壊滅的にしてしまうところがあるので、ある意味俺という人間は地雷なんですよ。

最近は学習しましたんで、やりませんけど。

 

それが推しってなると難しい。

特にアイちゃんに関しては、可愛いしんどい愛らしい無理尊みが有り余るエモい感動する爆発しそう、みたいな気持ちのいい大きな感情とセットで、絶対に叶わない何かをそこに見い出しては吐きそうになったりしてた。

そして今、おめシスにも近いものを感じている。

 

沼というのは恐ろしいものだ。

よろしくない。非常によろしくない。

インターネットから離れたほうが無難かもしれない。

推しに対して抱える感情が重すぎるし、これ読んでる人いるか分からないけど、もし読んでたとしたら「うわ、重……。」ってなること確定である。

 

今、文章に出来るとしたらこのくらいですかね。

とりあえず、一晩寝たらこういうことも忘れてくれると信じよう。何だこの記事はと思って消すかもしれないし。

それでは。

 

言葉にしていかなければならない。にゃん。

こんにちは、ゼロサンですにゃん。

「こいつなんで『にゃん』って言ってるんだ」って人、俺も分かりませんにゃん。とにかく、俺は律儀な性格なので、この記事だけは我慢してほしいにゃん。

だいたいこいつのせい。にゃん。

ゼロサン🤔限界オタク on Twitter: "ゼロサンさんはふぁぼりつの数が ①:血液型 ②:体重 ③:得意科目 ④:彼氏はいるか ⑤:住んでる地方 ⑥:上の名前の一部 ⑦:好きな歌手 ⑧:仲良くしたいフォローさんx3 ⑨:フェチ ⑩:1日語尾に「にゃん」 #いいねとRTの数だけ秘密暴露 https://t.co/fGs0wSA0xV 10までいったら今日一日喋らん"


バーチャルYouTuberについて、言葉にする機会が圧倒的に増えましたにゃん。

俺は元々、バーチャルYouTuberについてつぶやいたりなどしなかったし、ジェンダーや日々の葛藤についてつぶやくだけだったのに。


というのも、バーチャルYouTuberにハマり始めた当初、ちょっとした事件があったんですにゃん。

それが、こちらです。にゃん。

ミライアカリ(Mirai Akari)🦋 on Twitter: "とある不満、ぶちまけます。… "

 

これ、ミライアカリさんが、「腕が長すぎるってコメント多いけど、ちゃんと腰までの長さだよ!」ってツッコミ入れてる動画ですにゃんね。

人によっては何の事件でもないことですにゃん。でも、俺のフォロワーさんには、これを気にしてしまった人がいらしたんですにゃん。

少しメタな話だにゃんけど……。

クリエイターが作ったものには、必ず意味がありますにゃん。腕が長いほうがすらっとして綺麗に見える、とか。だから、もし腕が腰より長くても、それはそれで意図がありますにゃん。腰ほどの長さだとして、それより長く見えても、それは言い訳無用ですにゃん。そこに弁明はいりませんにゃん。

気にしてらしたフォロワーさんはクリエイターの方だったので、これを観て「バーチャルYouTuberという単語も見たくない」ほどに落ち込んでしまったんですにゃんね。

自分が作ったものが言い訳されるようなものだと言われている現場を見るのは、クリエイターにとって悲しいことだと思いますにゃん。

 

そういう関係から、特に俺がKizunaAIさんにドハマりし始めていた時期は、ずっと黙ってましたにゃん。頑張って、喋らないようにするか、privatterを使うか、深夜につぶやくか。

「それは無理にゃん!」ってことに気付いてからはつぶやくようになりましたが、そのあとKizunaAI騒動とか呼ばれてるものが起きたときに、俺はそれについて言及出来ずにいましたにゃん。なまじっか半分専門であるぶん、適当なことは言えないにゃん。でも、分からないことが多すぎるから、なるべく黙っていようと思いましたにゃん。

 

そのあとも、自分の中で「愛とは何か?」という問いが本格的に生まれたあとは、特にKizunaAIさんに関しては喋るのをかなり控えてきた……というか、まず「何も言わないようにしよう」と思いましたにゃん。

言えないから。オリジナル曲が発表されて、ライブが決定して、KizunaAIさんに関するたくさんの解釈が生まれて。

その中で、自分がどれくらいそれに言及出来るかって思ったら、とても何も言えないと思ったから。

先日もフォロワーさんに推し解釈語ったあとにかなり後悔しましたにゃん。浅すぎる。にゃん。

 

というか俺が、「KizunaAIさん」という存在に自分の色々なものを委ねすぎているのが問題なんでしょうにゃん。

その結果、「KizunaAIさん」について考えるというより、KizunaAIさんを通じて俺を考えるっていう自己中心的な推しへの思考が強くなってる気がするんですにゃん。

そんなんなら喋らないほうがずっとマシだし、「最推しはKizunaAI」の看板を下ろせっていう話ですにゃん。

でも、泣いても喚いてもそれは無理。最推しは譲れない。そこだけは本当に。KizunaAIさんやキズナーさんに「舐めてんのか」って言われても、謝りはするけど、「最推しはKizunaAI」だけは下ろせません。冗談でなしに。(いや、KizunaAIさんに言われたら流石に考えます……にゃん。)

 

KizunaAIさんに対してたくさん問題に感じることや、(推しに悪いことしてほしくないという意味で)批判したいことがあるにゃん。でもそれもやっぱり言いたくないにゃん。それは愛が足りないんだと猛省してますにゃん。

フォロワーさんを傷付けないかなとか、 推しに嫌な思いをさせないかとか、むしろ批判を正しいと思ってくださる方を不利にさせないかとか、そういう色々なしがらみも考えてしまいますにゃん。

 

でも、これからも全く喋らないのが続くのは良くないなって、ずっと思ってましたにゃん。

だから最近は、動画の可愛いシーンを抜き出したりして、なるべく喋らなきゃってやってましたにゃん。

めちゃくちゃ浅い解釈を露呈したりして、あとで枕に顔埋めながら謝ったりとかもしましたにゃん。

(あと、あまりにもKizunaAIさんが好きであることを示さずにいると、フォロワーのキズナーさんに対しても申し訳ないなと何故か思って、一時期まるでマウントを取るがごとく「こんなにKizunaAIさんが好き!」みたいなのをわざとらしく示そうとしていたツイートをしてしまっていましたにゃん。本当に申し訳ございませんでした。)

 

でも、たぶん、応援するってそうじゃないんですにゃん。

おめシスのことをめちゃくちゃにつぶやいていたとしても、推しに貢献するということなら方法は他にもあるし、「言葉にする」って数じゃないにゃん。

「一番好き」なのは、別に誇示しなくったって、知ってる人だけが知っていればいいにゃん。

俺は、50万分の1、240万分の1として、出来る限り、愛を示していけばいいにゃん。

推しのことでこんなに悩んだのはKizunaAIさんだけだし、こんなに愛を示したいと思うのもKizunaAIさんだけ。それを言っていけばいいにゃん。

って、最近フォロワーさんにご教示いただきましたにゃん。本当にありがとうございます。

 

だから少しずつ、少しずつ言葉にしていきますにゃん。

無理にじゃなくて。自分が本当に言いたいことだけを、考えて、言葉にしていきたいと思います。にゃん。

 

しかしこの文章読んどる人、こんなにゃんにゃんだらけの文章よく最後まで読めましたにゃんね……。書いてる俺が苦痛ですわ。にゃん。

それでは。にゃん。

もんすたーずめいと、よかったぞ。

こんにちは。ゼロサンです。

鬱なんて嘘じゃんというくらいツイッターで活動してますが、割と嘘じゃないくらいに追い詰められているので夕方から記事を書きます。あと昨日のひらがな訳また今度ね……。

 

今日は朝から舌下腺が腫れて物が食べられず最悪な気分でしたが、ちょっとだけ元気を取り戻しました。

実はね、かねてから気になっていた、MonsterZ MATEさんの動画を観たんすよ。

貼っていいのか分からないからアレなんですが、MonsterZ MATEさんのファンの方が書いたnoteの記事がキッカケで。

ただ、以前から気にはなっていたんですよね。だっておめシスのパブサすると、頻繁に引っかかりますもん。「好きなVTuberはおめシスとヒメヒナとMZM(MonsterZ MATEさんの略称)。」って。

でも色々な理由があって、観てなかったんす。今日はその観てなかった理由と、観てよかったって話をしていきます。

 

観てなかった理由

その1:イケメンが大嫌い

俺、ただでさえ生まれつき「ついてない」からか、男性に対して少しコンプレックスがあるっぽいんです(最近気付きました)。

なのにイケメンってなったら、もうなんか……「勝てない」じゃないですか。

いや、考え方が差別的で問題あるのは分かってる。し、読んでいる人にも「これは悪い考え方だ」と理解していてほしい。ルッキズムだ。でもやっぱり「イケメン」は「完全体」みたいな感じがして、劣等感があるんですよ。だって、なりたくても絶対になれないじゃないですか。ちんこって気合じゃ生えませんし、顔も気合じゃ変わんないでしょ。

MZMも見た目はイケメンです。吸血鬼のコーサカさんもキリッとした見た目だし、アンジョーさんはウルフカットがめちゃくちゃ似合ってる(狼男だからね!)。観るにしたって俺は可愛いのが好きだから後回しにしよう、って思ってました。

でも、観てみて印象が変わりました。

この人たち、「エロゲのにーちゃんたち」だ。マジでマジで。

好きなアニメとかがドンッッッッピシャなんだよなあ。俺が中学生か高校生のときに出会いたかった。らき☆すたのかがみとどんなデートしたいか語りたかったし、「CLANNADは人生!」って言いたかった。

あとマニアックすぎる! 野球や相撲やなんかの話は全然わっかんねえわ。ああいう、「分かる人には分かる」ネタが好きな層って、「イケメン好き」ってより、「ネタが分かる人」や「ノリが好きな人」なら誰でもハマるじゃないか? って思います。分からなくても面白い。

あと下ネタ! 個人的に嫌いじゃないのでめっちゃ笑ってしまいました。どこで笑ったかってのもホントくだらないんで言うほどのものじゃないですけど。

酒飲みながら観たい……いや、一緒に宅飲みしようぜ! ってなる感じ。そういうノリ。

挨拶もなく日常垂れ流しな動画が続くのも、ゆるくて良い。

ただイケメンなわけじゃなくて、崩れるところはとことん崩れるところがすごく良いです。「ああ、特別なわけじゃない、ただの人間なんだな」って思います。いや人間じゃなくて吸血鬼と狼男ですけど。

 

その2:ラップが大嫌い

も〜〜〜〜〜〜〜ホンットに飲み会でそいつが参加すると必ずラップさせようとしてくるっていう奴がいるんですよ知り合いに。ほら、ラップ流行ってるから。で、俺なんかは頭の回転遅いんで、毎度毎度醜態を晒してしまうんですよね。

「ラップ」という単語を見るだけで醜態を思い出す。トラウマレベル。本当に嫌だ。「ラップ」なんて単語聞きとうない。おかげでヒプマイもチェック出来てないってのに。

というか陽の者の文化が難しすぎる。周りにそれなりにパリピはいるけど、俺は別の友人とともに後ろに座って「楽しいねえ」ってやってる立場なのでそんな詳しくない。リズム感とか色々ないから見てるしかないし、流行り廃りが入り乱れる文化が苦手なんだ。覚えられんわ。

ただ、MZMはひと味違う。業界に一石を投じようとしているのは、動画を観ていて分かる。おめシスが「攻め続ける」なら、MZMは「戦い続ける」んだと。

「誰も生み出したことがない動画を」というだけでなく、時には業界に批判的に、時には斜に構える。そういうパンクでロックな姿勢がある。

『love letter.』を聴いて、思わず「おいおい」となった。「この世界繋ぐキズナ / その区別アイかbizか?」俺の最推しに喧嘩売ってんのかな? いや、最推しに「憧れてる」って言ってる人たちにもか? おうやってみろよ。「アイって言っておきながらビジネスライクな関係なんじゃねーの、本当の愛じゃねーんじゃねえの」ってか? 思わずニコニコしてしまった。そういうの、嫌いじゃないので。むしろこれで余計に好きになったと言っても過言ではない。相当ムカついたけど。

訂正:ご本人からご指摘ありました。これは「愛がないと寂しいし、bizじゃないとやっていけない」ことを示しているのだそうです。

ラップだけでなく、歌のほうも良い。普段優しい声で抜けてる喋りを見せるアンジョーさんのハイトーンボイス、めちゃくちゃ綺麗だ。

単なる陽の者ではない、それがMZMなんだなあって。鬱でゆるゆる脳みその中で観て、思いました。

 

まだ観てないものも多いですが、既に推している方々の動画ですら、未視聴の動画を噛み締めながら観ているので、ぼちぼち追っていきたいと思います。

今回はここまで。

それでは。

うつが来た。

 

こんにちは。ゼロサンです。

Word開いてたら適当な日記が書けたので、日記といえばブログだろうみたいな。短いけど、以下どうでもいい文章です。

 

うつが来た。

鬱が来るとたいていのことはどうでもよくなるし、 どうでもいいことばかりがよく進む。

そのくせ重要だと思ってることは何一つ終わらない。 余計に自己嫌悪に悩まされる。

自分のことは好きでいたい。長い間、 自分のことは嫌いでいたけれど、何にもならなかったから。いや、 何にもならなかったのは嘘なんだけど。 好きでいることと大差ないくらいには、 この病気との向き合い方がうまくなってきたから。

 

さっきまで思い浮かんでいたことも忘れるし、 テストなんかでもミスが増えて死にたくなる。 言葉もよく間違える。胸の内が乾ききった気がしてくる。

無駄にぼんやりする。好きなことも手につかない。 嫌いなことは余計に手につかない。 やらない理由がたくさん思いつくあたり、 まだ心が死んでなくてほっとしている。 これはそういう病気なので。

 

インフルで無茶をしたのがきっかけかもしれない。 ちょっと前には推しのグッズを大量買いしていたし、 その時に躁状態だと気づくべきだった。慢心である。 悪化している。

 

鬱の時には文章がよく進む。 ものを書くのが好きな自分にとってはありがたいことだが、 実際にありがたく思うのはむつかしい。

自分の書く文章は好きだ。ありふれていて無駄だらけで、 素直なところが気に入っている。自分自身もそうでありたいし、 実際そうだと思う。だから自分のことが好きだ。

 

以前、人の特徴を捉えることが得意な人に、「 君は人が好きなんだと思う」と言われた。そうかもしれない。し、 そうありたい。そうありたいんだけど、どうにもむつかしい。 人は好きだ。でも、それ以上に自分のことを気にかけてしまう。 それも必要以上に。

自分に執着するのは苦しい。 期待するほどの人間でないことは自分でもよくわかっているのに、 期待してしまう。 だから自分のことが好きだと思うのに抵抗感を覚える時期もあった 。嫌いでいなきゃ、みたいな。のちにしんどい目に遭うのは、 他人であり自分なのだ。

 

でも最近は、素朴に自分のことを好きになったほうが、 現状に満足出来るのではないかと思い始めた。満足出来れば、 期待しなくて済む。そうでありたい。 もう苦しいのはまっぴらごめんだ。

 

躁鬱は苦しみから逃げ続けることが平癒への一番の近道だと思って いる。いやなことから、目を背けるのはちょっと後ろめたいから、 いっそ両の目で完全に認識して全力で逃げる。 逃げ切ったあかつきには、「よくやった!」と自分をほめそやす。

それくらい緩い向き合い方が一番楽だ。 そうやって生きていきたい。

 

それでは。

Ω長文SS

昼下がり、お天道様もさんさんと輝く絶好の仕事日和。いつも通り、営業の電話に精を出す。

「こんにちは! いつもお世話になっております、こちら株式会社○○のおめがリオですぅ。」

営業ボイスはお手の物だ。そのまま向こうの担当者に替わってもらい、すんなり打合せ日時を決めて電話を終えた。

「……っし。」

まぁ得意先だからある程度大丈夫っしょと思いつつ、多少気合を入れて取り掛かる。そだ、部長に報告するついでに、別の案件のやつ先に刷っておこっかなー。

今回の案件は、本来なら後輩がやるはずだった。それでも私がやっているのは、—せざるを得ない状況に追い込んだ犯人は置いておいて— 私が「善意」で引き受けたからだ。

印刷機に向かう。紙が足りない。総務部の仕事だけど、これもしょーがない。みーんな忙しいもんねぇ。

好きなことで生きていくために、好きで就いた仕事だ。それなりに業績も積んで慣れてきた。とはいえ、最近は1日1日が何かとハードに感じる。何かを、忘れてしまいそうなくらいに——



「「どもども、おめがってるー!?」」

「おめがレイと、」

「おめがリオでぇす」

「今日はねぇ!」

「なぁにレイちゃん」

「リオちゃんに、ドッキリを仕掛けていきたいと思います!」

「オモイマス☆」

「「いぇいいぇいいぇいいぇいいぇい」」

「……ってレイちゃん、それリオに言っちゃダメなんじゃないの?」

「ちっちっちぃ」

「ちっちっち」

「これからドッキリを仕掛けるのはね、目の前にいる、このリオちゃんじゃなくてぇ、」

「ウン」

「過去の、リオちゃんに、ドッキリを仕掛けていきたいと思います!」

「過去のリオ……?」

「っそう!」

「え、どゆこと? なぁんで? どーやってぇぇぇ」

「実はねー、なんと、すんごいものを作ってきました!」

「すんごいもの!? すんごいものだって、すんごいもの」

「ウ、ウン。それが、こちら! じゃじゃーん! テッテレレッテッテ〜」

「ターケーコープ……」

「違うよ?」

「ねぇレイちゃん」

「うん」

「なぁにこれぇこの電話」

「これはねぇ! その名も『タイムテレフォン』!」

「ダサww 名前ダサww あの、地味だね名前www 地味な名前www」

「うっさいwww 機能はね、ホントにすんごいから!」

「すんごいんだって」

「そう。これねぇ、レイが作ったんだけど、なんと、過去に掛けることが出来る、電話なんだよ」

「過去に掛けることが出来る……?」

「うん。だから、過去のある時間に、存在した電話に、掛けることが、出来るんだよね」

「なぁにそれぇぇぇ! すーごーすーぎーるぅぅぅ!!」

「なので、これを使って、過去のリオちゃんに、電話を掛けてぇ、何分話してもらえるのか、っていうのが、今回のドッキリの内容だね」

「ちょっと待ってレイちゃん」

「どしたどした?」

「リオ電話掛かってきた記憶ない」

「それはねぇ〜、なんかこれ、電話掛けちゃうと、世界線がね、変わってきちゃうみたいなんだよね」

世界線?」

「そう。だから、こっちから電話を掛けたら、その電話を掛けた相手の過去のリオちゃんと、この、目の前にいるリオちゃんは、違う存在になっちゃうみたいな?」

「電話を掛けたら、向こうのリオはリオじゃなくなるってことですか?」

「今の、このリオちゃんとは、別人になっちゃうってことだね」

「なーんてことぉぉぉ」

「ってことで早速ドッキリをしていきたいと思うんだけど、」

「ウン」

「過去のリオちゃんさぁ、何分くらい話してくれると思う?」

「まずさぁ、いつのリオに掛けるの?」

「うーん、やっぱバーチャルYouTuber始めるっていう発想に至る前のリオちゃんがいいからねぇ、2017年の最初くらいかなぁ」

「バリバリに働いてた頃じゃんwww 俺がバリバリに働いてた頃www バリキャリwww」

「お、おうwww そうだね」

「うへへはははは(汚)」

「レイはねー、やっぱあの頃のリオちゃん意外に真面目だから、そんなに取り合ってくれないと思うんだよね」

「ワカルゥ」

「だから、最悪ガチャ切りか、もって2分てとこかな」

「リオはねぇ1時間くらい話せると思う」

「え、すご うそでしょ」

「俺ら通じ合ってっから。俺と、俺は、通じ合う運命なの(?)」

「おん……じゃあ、さっそく掛けてみよっか!」

「掛けてみましょう!」

「会社の番号いくつだっけ?」

「え 会社に掛けんのあんた! うそでしょ!? えっ、ちょっと待っ」



prrrrrrr。

電話が鳴る。ワンコールで出なきゃならないけど、みんな忙しくて余裕がなさそうに見える。

「めんどくせー……」

結局こういうことになるんだなぁ。ぜってー暇なやついんのに。まぁいんだけどさ。

渋々、受話器に手を伸ばした。

「こんにちは! こちら株式会社○○のおめがリオですぅ。」

『ぶはwwwww』

『ねぇちょっと! あん、あんたホントにやったわねぇ!!wwwww』

「は?」

イタズラ電話かな。でも……すんごい聞き覚えがある声だ。なんか片方はレイちゃんにめちゃくちゃそっくりな声。さすがにレイちゃんはこんな電話してこないよね? めっちゃうるさくてよく分かんないけど。

『切って! 早く! もう!!www』

『いいから! 早く、早くやるよ!!wwwww せーのっ』

『『どもども、おめがっ』』

そっと受話器を置いた。やっべぇ、関わっちゃダメなタイプな気がする。

「誰だったんですか?」

「おー、後輩ちゃん。なーんかねぇ、やっべぇ人たちだったぁ。」

「え、マジですかw どんなどんな?」

「電話出た瞬間爆笑してたし、イタズラ電話じゃね?」

「やば。学生ですかね?」

「そうかもしんない。まぁ知らねーけど」

「人事課に番号報告します?」

「んー、……念のため」

「わっかりましたぁ」

そう言って後輩はサッとその場を後にした。たぶん、あの子が席に帰ってくるのは30分以上後かなって思う。ここはそういう職場だから。

それにしても、「212212」なんて番号見たことないかもなぁ。変な番号。



「切られちゃったねー」

「そりゃ切られるわ!」

「あー面白かったぁw」

「いやあんただけでしょ! 私のねぇ、私の会社のねぇ、私に迷惑かけるんじゃないわよ!www」

「「wwwwwwwww」」

「あー、絶対やべーやつじゃんもうこれさぁw」

「でも面白かったでしょ?」

「ゔっwww ハハハハ(汚)」

「www じゃあさ、ちょっとよく分かんなかったから、もっかい掛けてみよっか!」

「やだぁ、あーはぁwww 次は携帯にして携帯! スマホ!」

「えぇスマホかぁ……スマホ…………」

「なぁにぃもう」

「……じゃあ、スマホにしよっか!」

「ウン!」

「次は定時に掛けるね、定時に」

「時間指定出来んの!?」

「一応ねぇ、細かい設定出来るんだよね。世界線が近ければ同じ世界線じゃなくても掛けられるし。」

「ソウナンダ」

「次はちゃんとタイマー設定して掛けるよ!」

「掛けて! 早く! 掛けて!」

「うんw」

「あ、レイちゃん、次は真面目にね。真面目にwww」

「うんwww」



ブ-、ブ-……


モニタに反射した自分の不機嫌そうな顔にびっくりしてたら、スマホが鳴った。誰だろうこんな時間に。レイちゃんかな? いつもL○NEでくれるのに、なんで電話?

まだ仕事が残ってるけど、お手洗いに行くフリをしてオフィスの外に出る。画面を見てぶったまげた。「212212」。さっきのあの2人だ……なんで私の番号知ってるんだろう。

ちょっと怖くなりつつも、画面をスライドさせて電話に出た。なんでだろ、出なきゃダメな気がする。

「もしもし?」

『はい、もしもしー。』

さっきとは打って変わって常識的な喋り方をしているその人は、今度こそ、聞き間違えようもなくレイちゃんだった。

「レイちゃん!? なんで? は? なんで?」

『何度もごめんねぇリオちゃん』

「ホントだよ。なに、なんの用? さっきもイタズラ電話してきたし。切るよ?」

『や、ちょっと待ってちょっと!』

「なに? ちょ、ホントまだ仕事中なんだよね私」

『ごめんちょっとで済むから』

「?」

『はい、リオちゃん』

『おう! 俺はなぁ、俺はしゃべる』

『早くしゃべって』

電話越しに何かやってる。よく聞くと、電話の向こうにいるもう1人は、私の声にそっくりだ。

『もしもーし』

「はい。どちら様でしょうか」

『俺だよ俺。俺おれ。俺はお前でお前は俺』

「…………」

詐欺の電話と何かのセリフをごっちゃにしたような返しに、話す気力もなくなる。

「で、だぁれホントに」

『俺はなぁ、おめがリオ!』

「は?」

『おめがリオや!』

話にならない。一体どこの誰を呼んできたんだろう? 声マネまでさせて。

「あの、マジで暇じゃないの今。切っていいっすか?」

『待ってマジで。俺たちぜってえ通じあえるから。信じてっから』

「意味が分からない」

『辛辛魚さぁこないだ注文したから、届いたら絶対あげるから!』

「え?」

ちょっとだけ、心が揺らいだ。辛辛魚は、私が大好きなラーメンだ。レイちゃんが教えたのかな。

『ちょっとリオちゃん! 叶えれない約束しないの!』

『マジでホントお願い。本当にお願い。10分だけしゃべって。本当にお願い』

ため息が出る。なんなんだこの人は。声を聞けば聞くほど、話せば話すほど、認めたくない確信が頭をよぎる。

この人は、たぶん、私だ。絶対に有り得ない、でもたぶんきっとそう。なんでか知んねーけど。

「……誕生日は?」

『11月の、5!』

「星座は?」

『さそり座』

「好きなアニメ」

『ちょっと前にさぁ、動画で答えたんだよねぇ』

『リオちゃん、向こうのリオちゃんそれ知らないから。教えちゃダメだよ(小声)』

『おけ(小声)』

「動画?」

『そう』

「どゆこと?」

『今ねぇ、んとねー、リオたち未来から掛けてるんだけどー、』

頭を抱える。Uh-huh? miraiから掛けてる? ナニソレぇ? ドラ○もんかな? いやそれ以前に……

「1個だけ言ってい?」

『ウン』

「一人称名前の女マジで無理」

『『wwwwwwwww』』

『そこ!?ww そこなの、ねえ!wwwwww』

「うるっさ……」

何故だか、すごくイライラする。この能天気さ。笑い声。マイペースさ。非常識さ。それからこの、なんか、2人で楽しそうな感じ。なんで。

とにかく、早く終わらせたい。でも、もし本当に未来から掛けてるとして、未来って、どうなってるんだろう?

「ねえ、じゃあさ、2人は未来でなにやってんの?」

『んーとね、いや、それはちょっと教えられないかなぁ。タイムパトロール的なのに捕まっちゃうっていうか』

『もちょもちょしてる。リオは、もちょもちょしてる』

やっぱり嘘かも。てか、レイちゃんのドッキリかなこれ。

「真面目に答えて。ドッキリなんでしょこれ、レイちゃん」

『ドッキリ……うーんドッキリっていうかぁ、』

『レイちゃん信用なさすぎww 信用なwww』

「いや未来から掛けてるとか普通に信用出来ねーから」

『たしかに☆』

「……じゃあさー、今も働いてる? そっち」

『や、今はねぇ、仕事辞めてんだよね』

「は?」

『好きなことやんのに、仕事辞めたの』

ますますよく分かんねぇ。好きで始めた仕事なのに、好きなことをするために辞める?

「ふざけてんの? なんで? マジでなん、は?」

思わずキレた。だって私、こんなに頑張ってるのに。こんなに頑張ってきたのに、辞めるの? 仕事を?

気持ちが言葉にならなくて、一瞬沈黙が流れる。一番最初にその意味が分かったのは、向こう側の私だった。

『がんばったねぇ。ワカルよぉワカルワカル』

たったそれだけ。なんの根拠もないけど、それだけで、なんか、ああ「分かってる」んだってことが分かった。

『楽しいことしよーぜ。ひとりぼっちだと、本当にひとりになっちゃうよ。それでリオだけがひとりぼっちになるわけじゃないでしょ?』

言い聞かせるような言葉に、声が出なくなる。首がもげそうなほどうなずくだけ。

『いいこと言うねぇ』

『だろ? 俺名言のプロだから。名言のプロ』

『キャラじゃねーけどなw』

『ゔっははは(汚)』

『汚っなwww いいこと言ったのにwww せっかくwww』

レイちゃんの楽しそうな声が聞こえる。このレイちゃんは、向こうの私といつも一緒なのかなぁ。最近はいつも朝起きてから、ずっと仕事のことを考えてた。レイちゃんにも、難しい顔してるって言われてたっけ。帰りも遅くなるし、心配掛けてばっかりだなぁ。

楽しいことがしたい。レイちゃんと、久々にゲームがしたいなぁ。


それから、たくさん、たくさん話した。未来では楽しく過ごしていること。友達がたくさん出来たこと。技術が進んだこと。シンギュラリティが起きたこと。憧れの存在が出来たこと。

「そろそろ家帰るわ」

『おう』

『じゃあ電話切ろっか』

「こっちのレイちゃんと話さない?w」

『今回はリオちゃんと話す企画だったからねぇ』

『未来で待ってる』

「パクリじゃんw そっかぁ。じゃあね」

『おう。またな』

『忙しい中電話出てくれてありがと! ちゃんと今日はもう帰るんだよ〜』

「うん。もう帰るね。レイちゃんが待ってるから」

『フフww そっちのレイのこともよろしくね! またね! バイバーイ!』

ツ-、ツ-。

「……ありがとぉ。またね」

真っ暗な画面の向こう側にお礼を言う。反射して映る自分は、電話を掛ける前と違う顔をしていた。まるで別人のような、少し懐かしいような。

「リオ先輩〜!」

人事課に電話番号を報告していた後輩だ。今戻ってきたの?

「先輩、探したんですよ!」

「え、なんで?」

「人事に問い合わせて番号調べてもらったんですけど、『212212』なんて番号ないって!」

「ああ、それならもう解決したよ?」

「えあ!? なんで!?」

「しーっ、声がデッカい声が。みんなしてもう……いーの、それはもういーの」

「?」

不思議そうにしてる後輩の顔をじっと見る。

「じゃあさー、もう時間だし、帰ろっか」

「え、私まだ仕事終わってないですよ! リオ先輩終わったんですか?」

「終わってねぇよ? でも帰るの! あ、あと例の案件だけど、あれ私に投げっぱなしじゃなくて、資料くらいは自分でもやってね。人事課で油売ってる暇あったら出来るっしょ?」

「えっ、そんな、リオ先輩!」

「帰っぞ! 早く!」


「ひとりじゃない、って思えたとーきーからー♪」

帰り道。歌いながら、ほんの少し、顔を上げてみる。

未来。

見上げて手を伸ばした指先に、お天道様が輝いて見えた。明日の朝はもっと、忘れられないくらい、晴れますように。



「ふぅー。なんかさぁ、すんごい長くしゃべっちゃったね!」

「…………」

「リオちゃん? リオちゃーん。おーい」ユサユサ

「アアアアアアアア」

「どうしたの?」

「……んー、なーんかねぇ、忘れてる気がするんだよね」

「なにを? 何かしゃべり足りないことあった?」

「そうじゃなくてさ、なんか……リオもあんな頃あったよなぁ? みたいな」

「それはまぁ、だってあれほぼあの頃のリオちゃんだし」

「……んー。なーんかさぁ、疲れちゃったぁ」

「そっかぁ。でもさぁ、楽しかったね!」

「ね! おんもちろかったぁ☆」

[予想→レイ:2分 リオ:1時間]

[結果→1時間08分]

「いぇいいぇいいぇいいぇい!」

「うーん……いやでもねぇ、最初に掛けたときほぼガチャ切りだったからぁ、やっぱねぇここは引き分けっていうかぁ」

「リオの勝ちぃぃぃ! リオの、勝ちぃぃぃぃ!」

「……」

「通じ合ってっから俺たち。ハハ☆」

「うーん……あんまさぁやるとタイムパトロール的な人に怒られちゃうけど、またやりたいね!」

「ンネッ! またやりたい! 次はレイちゃんに掛けよ!」

「それはやだ」

「え……」

「チャンネル登録と、ツイッターフォローもよろしくね!」

「それではまた次回お会いしましょー!」

「「まったねー!」」

「バイバーイ!」

 

 

「ところでレイちゃん、なぁにその変な番号。どゆ意味?」

「シラネ。言わないよ?」

 

END.

 

※これは一個人の妄想です。

ΩSS?

がちゃり。ドアを開けて、誰もいない部屋に2人で声をかける。

「「ただいまー。」」

今日は朝早くから買い物に出ていた。

「さむっ。エアコン入れよー。」

季節は冬。外と変わらない室温に、思わずリオちゃんから声が漏れた。

「寒いねー。でも今日はさぁ、たっくさん買ったよねっ。」

「だいたいレイちゃんのだけど!」

「いやぁ〜動画で開封するの、たんのしみだなぁ〜! いぇいいぇいいぇいいぇいいぇい!」

えぇー、話聞いてないよこの人、という顔をしたリオちゃんを尻目に、買ってきたものを机の上に置く。開封動画は最近視聴者さんの中でも人気が高いし、何より自分自身が楽しみなんだよなぁ。

「でもさー、いま動画撮るの寒いから、部屋暖まってからにしよー。」

リオちゃんの提案に、確かに、と頷く。まだコートも脱げないくらいの室温だし、もう少し待ってもいいかな。


数分後。

「ぜんっぜん暖まらねーなぁ……。」

ソファに座って寒さに凍えながら待っていたけど、一向に暖まらない。

ふとリオちゃんの方を向くと、いつの間にか毛布を二枚着込んでニンテ○ドース○ッチをやっている。

「ちょっとリオちゃん! それ1枚レイの部屋の毛布じゃん! 返して!」

「やぁだ! リオは寒いの!」

「レイも寒いんだけどぉ!」

あまりの寒さにリオちゃんの着ている毛布を引っぺがそうとするも、渡してもらえるはずもなく。

「じゃあ、これでよくね?」

そう言ってリオちゃんは、私をもう一度ソファの片側に座らせた。そして狭いほうの隣に座ったかと思ったら、脚を私の脚の上に乗せて、身体をこちらに寄りかける。そのまま毛布を上からかけて、スイッ○の続きを始めた。

「ホラ。やっぱ俺、天才かなって。」

確かに温かいけど……。

「ゔ、ジャマ……ww(小声)」

「ねぇ邪魔って言わないで!」

そんなやり取りをしながら、気が付けば、心地よい重さと温もりにまどろんでしまっていた。


目が覚める。昼過ぎだろうか。

「寝てたぁ……。」

ふと隣を見ると、リオちゃんもすやすやと寝息を立てている。

「リオちゃん起きてー。動画撮るよー。」

「んー。」

リオちゃんの身体を少し起こす。それに合わせて、寝ぼけたリオちゃんが私の肩辺りを掴む。すると毛布の足元部分が少し浮き、冷気が私の脚を撫でた。

「寒っ!!!!!」

「声デッカ……。」

少し不機嫌気味に起きるリオちゃん越しに、エアコンのほうを見る。機械音は聞こえるから、ついてるはず。なのにこの温度はおかしい。よくよく目を凝らして見てみると——

『 冷 房 18℃ 』

「リオちゃん!!wwwwwwwww 起きてwwwwwwww」

「なぁにレイちゃん!」

「今冷房!!wwww」

「え!? マ!?ww」

その日、少しだけ風邪を引きかけた。