zer0-san3’s blog

zer0-san3.hatenablog.comの漢字かな混じり墨字文バージョン。

うつが来た。

 

こんにちは。ゼロサンです。

Word開いてたら適当な日記が書けたので、日記といえばブログだろうみたいな。短いけど、以下どうでもいい文章です。

 

うつが来た。

鬱が来るとたいていのことはどうでもよくなるし、 どうでもいいことばかりがよく進む。

そのくせ重要だと思ってることは何一つ終わらない。 余計に自己嫌悪に悩まされる。

自分のことは好きでいたい。長い間、 自分のことは嫌いでいたけれど、何にもならなかったから。いや、 何にもならなかったのは嘘なんだけど。 好きでいることと大差ないくらいには、 この病気との向き合い方がうまくなってきたから。

 

さっきまで思い浮かんでいたことも忘れるし、 テストなんかでもミスが増えて死にたくなる。 言葉もよく間違える。胸の内が乾ききった気がしてくる。

無駄にぼんやりする。好きなことも手につかない。 嫌いなことは余計に手につかない。 やらない理由がたくさん思いつくあたり、 まだ心が死んでなくてほっとしている。 これはそういう病気なので。

 

インフルで無茶をしたのがきっかけかもしれない。 ちょっと前には推しのグッズを大量買いしていたし、 その時に躁状態だと気づくべきだった。慢心である。 悪化している。

 

鬱の時には文章がよく進む。 ものを書くのが好きな自分にとってはありがたいことだが、 実際にありがたく思うのはむつかしい。

自分の書く文章は好きだ。ありふれていて無駄だらけで、 素直なところが気に入っている。自分自身もそうでありたいし、 実際そうだと思う。だから自分のことが好きだ。

 

以前、人の特徴を捉えることが得意な人に、「 君は人が好きなんだと思う」と言われた。そうかもしれない。し、 そうありたい。そうありたいんだけど、どうにもむつかしい。 人は好きだ。でも、それ以上に自分のことを気にかけてしまう。 それも必要以上に。

自分に執着するのは苦しい。 期待するほどの人間でないことは自分でもよくわかっているのに、 期待してしまう。 だから自分のことが好きだと思うのに抵抗感を覚える時期もあった 。嫌いでいなきゃ、みたいな。のちにしんどい目に遭うのは、 他人であり自分なのだ。

 

でも最近は、素朴に自分のことを好きになったほうが、 現状に満足出来るのではないかと思い始めた。満足出来れば、 期待しなくて済む。そうでありたい。 もう苦しいのはまっぴらごめんだ。

 

躁鬱は苦しみから逃げ続けることが平癒への一番の近道だと思って いる。いやなことから、目を背けるのはちょっと後ろめたいから、 いっそ両の目で完全に認識して全力で逃げる。 逃げ切ったあかつきには、「よくやった!」と自分をほめそやす。

それくらい緩い向き合い方が一番楽だ。 そうやって生きていきたい。

 

それでは。

Ω長文SS

昼下がり、お天道様もさんさんと輝く絶好の仕事日和。いつも通り、営業の電話に精を出す。

「こんにちは! いつもお世話になっております、こちら株式会社○○のおめがリオですぅ。」

営業ボイスはお手の物だ。そのまま向こうの担当者に替わってもらい、すんなり打合せ日時を決めて電話を終えた。

「……っし。」

まぁ得意先だからある程度大丈夫っしょと思いつつ、多少気合を入れて取り掛かる。そだ、部長に報告するついでに、別の案件のやつ先に刷っておこっかなー。

今回の案件は、本来なら後輩がやるはずだった。それでも私がやっているのは、—せざるを得ない状況に追い込んだ犯人は置いておいて— 私が「善意」で引き受けたからだ。

印刷機に向かう。紙が足りない。総務部の仕事だけど、これもしょーがない。みーんな忙しいもんねぇ。

好きなことで生きていくために、好きで就いた仕事だ。それなりに業績も積んで慣れてきた。とはいえ、最近は1日1日が何かとハードに感じる。何かを、忘れてしまいそうなくらいに——



「「どもども、おめがってるー!?」」

「おめがレイと、」

「おめがリオでぇす」

「今日はねぇ!」

「なぁにレイちゃん」

「リオちゃんに、ドッキリを仕掛けていきたいと思います!」

「オモイマス☆」

「「いぇいいぇいいぇいいぇいいぇい」」

「……ってレイちゃん、それリオに言っちゃダメなんじゃないの?」

「ちっちっちぃ」

「ちっちっち」

「これからドッキリを仕掛けるのはね、目の前にいる、このリオちゃんじゃなくてぇ、」

「ウン」

「過去の、リオちゃんに、ドッキリを仕掛けていきたいと思います!」

「過去のリオ……?」

「っそう!」

「え、どゆこと? なぁんで? どーやってぇぇぇ」

「実はねー、なんと、すんごいものを作ってきました!」

「すんごいもの!? すんごいものだって、すんごいもの」

「ウ、ウン。それが、こちら! じゃじゃーん! テッテレレッテッテ〜」

「ターケーコープ……」

「違うよ?」

「ねぇレイちゃん」

「うん」

「なぁにこれぇこの電話」

「これはねぇ! その名も『タイムテレフォン』!」

「ダサww 名前ダサww あの、地味だね名前www 地味な名前www」

「うっさいwww 機能はね、ホントにすんごいから!」

「すんごいんだって」

「そう。これねぇ、レイが作ったんだけど、なんと、過去に掛けることが出来る、電話なんだよ」

「過去に掛けることが出来る……?」

「うん。だから、過去のある時間に、存在した電話に、掛けることが、出来るんだよね」

「なぁにそれぇぇぇ! すーごーすーぎーるぅぅぅ!!」

「なので、これを使って、過去のリオちゃんに、電話を掛けてぇ、何分話してもらえるのか、っていうのが、今回のドッキリの内容だね」

「ちょっと待ってレイちゃん」

「どしたどした?」

「リオ電話掛かってきた記憶ない」

「それはねぇ〜、なんかこれ、電話掛けちゃうと、世界線がね、変わってきちゃうみたいなんだよね」

世界線?」

「そう。だから、こっちから電話を掛けたら、その電話を掛けた相手の過去のリオちゃんと、この、目の前にいるリオちゃんは、違う存在になっちゃうみたいな?」

「電話を掛けたら、向こうのリオはリオじゃなくなるってことですか?」

「今の、このリオちゃんとは、別人になっちゃうってことだね」

「なーんてことぉぉぉ」

「ってことで早速ドッキリをしていきたいと思うんだけど、」

「ウン」

「過去のリオちゃんさぁ、何分くらい話してくれると思う?」

「まずさぁ、いつのリオに掛けるの?」

「うーん、やっぱバーチャルYouTuber始めるっていう発想に至る前のリオちゃんがいいからねぇ、2017年の最初くらいかなぁ」

「バリバリに働いてた頃じゃんwww 俺がバリバリに働いてた頃www バリキャリwww」

「お、おうwww そうだね」

「うへへはははは(汚)」

「レイはねー、やっぱあの頃のリオちゃん意外に真面目だから、そんなに取り合ってくれないと思うんだよね」

「ワカルゥ」

「だから、最悪ガチャ切りか、もって2分てとこかな」

「リオはねぇ1時間くらい話せると思う」

「え、すご うそでしょ」

「俺ら通じ合ってっから。俺と、俺は、通じ合う運命なの(?)」

「おん……じゃあ、さっそく掛けてみよっか!」

「掛けてみましょう!」

「会社の番号いくつだっけ?」

「え 会社に掛けんのあんた! うそでしょ!? えっ、ちょっと待っ」



prrrrrrr。

電話が鳴る。ワンコールで出なきゃならないけど、みんな忙しくて余裕がなさそうに見える。

「めんどくせー……」

結局こういうことになるんだなぁ。ぜってー暇なやついんのに。まぁいんだけどさ。

渋々、受話器に手を伸ばした。

「こんにちは! こちら株式会社○○のおめがリオですぅ。」

『ぶはwwwww』

『ねぇちょっと! あん、あんたホントにやったわねぇ!!wwwww』

「は?」

イタズラ電話かな。でも……すんごい聞き覚えがある声だ。なんか片方はレイちゃんにめちゃくちゃそっくりな声。さすがにレイちゃんはこんな電話してこないよね? めっちゃうるさくてよく分かんないけど。

『切って! 早く! もう!!www』

『いいから! 早く、早くやるよ!!wwwww せーのっ』

『『どもども、おめがっ』』

そっと受話器を置いた。やっべぇ、関わっちゃダメなタイプな気がする。

「誰だったんですか?」

「おー、後輩ちゃん。なーんかねぇ、やっべぇ人たちだったぁ。」

「え、マジですかw どんなどんな?」

「電話出た瞬間爆笑してたし、イタズラ電話じゃね?」

「やば。学生ですかね?」

「そうかもしんない。まぁ知らねーけど」

「人事課に番号報告します?」

「んー、……念のため」

「わっかりましたぁ」

そう言って後輩はサッとその場を後にした。たぶん、あの子が席に帰ってくるのは30分以上後かなって思う。ここはそういう職場だから。

それにしても、「212212」なんて番号見たことないかもなぁ。変な番号。



「切られちゃったねー」

「そりゃ切られるわ!」

「あー面白かったぁw」

「いやあんただけでしょ! 私のねぇ、私の会社のねぇ、私に迷惑かけるんじゃないわよ!www」

「「wwwwwwwww」」

「あー、絶対やべーやつじゃんもうこれさぁw」

「でも面白かったでしょ?」

「ゔっwww ハハハハ(汚)」

「www じゃあさ、ちょっとよく分かんなかったから、もっかい掛けてみよっか!」

「やだぁ、あーはぁwww 次は携帯にして携帯! スマホ!」

「えぇスマホかぁ……スマホ…………」

「なぁにぃもう」

「……じゃあ、スマホにしよっか!」

「ウン!」

「次は定時に掛けるね、定時に」

「時間指定出来んの!?」

「一応ねぇ、細かい設定出来るんだよね。世界線が近ければ同じ世界線じゃなくても掛けられるし。」

「ソウナンダ」

「次はちゃんとタイマー設定して掛けるよ!」

「掛けて! 早く! 掛けて!」

「うんw」

「あ、レイちゃん、次は真面目にね。真面目にwww」

「うんwww」



ブ-、ブ-……


モニタに反射した自分の不機嫌そうな顔にびっくりしてたら、スマホが鳴った。誰だろうこんな時間に。レイちゃんかな? いつもL○NEでくれるのに、なんで電話?

まだ仕事が残ってるけど、お手洗いに行くフリをしてオフィスの外に出る。画面を見てぶったまげた。「212212」。さっきのあの2人だ……なんで私の番号知ってるんだろう。

ちょっと怖くなりつつも、画面をスライドさせて電話に出た。なんでだろ、出なきゃダメな気がする。

「もしもし?」

『はい、もしもしー。』

さっきとは打って変わって常識的な喋り方をしているその人は、今度こそ、聞き間違えようもなくレイちゃんだった。

「レイちゃん!? なんで? は? なんで?」

『何度もごめんねぇリオちゃん』

「ホントだよ。なに、なんの用? さっきもイタズラ電話してきたし。切るよ?」

『や、ちょっと待ってちょっと!』

「なに? ちょ、ホントまだ仕事中なんだよね私」

『ごめんちょっとで済むから』

「?」

『はい、リオちゃん』

『おう! 俺はなぁ、俺はしゃべる』

『早くしゃべって』

電話越しに何かやってる。よく聞くと、電話の向こうにいるもう1人は、私の声にそっくりだ。

『もしもーし』

「はい。どちら様でしょうか」

『俺だよ俺。俺おれ。俺はお前でお前は俺』

「…………」

詐欺の電話と何かのセリフをごっちゃにしたような返しに、話す気力もなくなる。

「で、だぁれホントに」

『俺はなぁ、おめがリオ!』

「は?」

『おめがリオや!』

話にならない。一体どこの誰を呼んできたんだろう? 声マネまでさせて。

「あの、マジで暇じゃないの今。切っていいっすか?」

『待ってマジで。俺たちぜってえ通じあえるから。信じてっから』

「意味が分からない」

『辛辛魚さぁこないだ注文したから、届いたら絶対あげるから!』

「え?」

ちょっとだけ、心が揺らいだ。辛辛魚は、私が大好きなラーメンだ。レイちゃんが教えたのかな。

『ちょっとリオちゃん! 叶えれない約束しないの!』

『マジでホントお願い。本当にお願い。10分だけしゃべって。本当にお願い』

ため息が出る。なんなんだこの人は。声を聞けば聞くほど、話せば話すほど、認めたくない確信が頭をよぎる。

この人は、たぶん、私だ。絶対に有り得ない、でもたぶんきっとそう。なんでか知んねーけど。

「……誕生日は?」

『11月の、5!』

「星座は?」

『さそり座』

「好きなアニメ」

『ちょっと前にさぁ、動画で答えたんだよねぇ』

『リオちゃん、向こうのリオちゃんそれ知らないから。教えちゃダメだよ(小声)』

『おけ(小声)』

「動画?」

『そう』

「どゆこと?」

『今ねぇ、んとねー、リオたち未来から掛けてるんだけどー、』

頭を抱える。Uh-huh? miraiから掛けてる? ナニソレぇ? ドラ○もんかな? いやそれ以前に……

「1個だけ言ってい?」

『ウン』

「一人称名前の女マジで無理」

『『wwwwwwwww』』

『そこ!?ww そこなの、ねえ!wwwwww』

「うるっさ……」

何故だか、すごくイライラする。この能天気さ。笑い声。マイペースさ。非常識さ。それからこの、なんか、2人で楽しそうな感じ。なんで。

とにかく、早く終わらせたい。でも、もし本当に未来から掛けてるとして、未来って、どうなってるんだろう?

「ねえ、じゃあさ、2人は未来でなにやってんの?」

『んーとね、いや、それはちょっと教えられないかなぁ。タイムパトロール的なのに捕まっちゃうっていうか』

『もちょもちょしてる。リオは、もちょもちょしてる』

やっぱり嘘かも。てか、レイちゃんのドッキリかなこれ。

「真面目に答えて。ドッキリなんでしょこれ、レイちゃん」

『ドッキリ……うーんドッキリっていうかぁ、』

『レイちゃん信用なさすぎww 信用なwww』

「いや未来から掛けてるとか普通に信用出来ねーから」

『たしかに☆』

「……じゃあさー、今も働いてる? そっち」

『や、今はねぇ、仕事辞めてんだよね』

「は?」

『好きなことやんのに、仕事辞めたの』

ますますよく分かんねぇ。好きで始めた仕事なのに、好きなことをするために辞める?

「ふざけてんの? なんで? マジでなん、は?」

思わずキレた。だって私、こんなに頑張ってるのに。こんなに頑張ってきたのに、辞めるの? 仕事を?

気持ちが言葉にならなくて、一瞬沈黙が流れる。一番最初にその意味が分かったのは、向こう側の私だった。

『がんばったねぇ。ワカルよぉワカルワカル』

たったそれだけ。なんの根拠もないけど、それだけで、なんか、ああ「分かってる」んだってことが分かった。

『楽しいことしよーぜ。ひとりぼっちだと、本当にひとりになっちゃうよ。それでリオだけがひとりぼっちになるわけじゃないでしょ?』

言い聞かせるような言葉に、声が出なくなる。首がもげそうなほどうなずくだけ。

『いいこと言うねぇ』

『だろ? 俺名言のプロだから。名言のプロ』

『キャラじゃねーけどなw』

『ゔっははは(汚)』

『汚っなwww いいこと言ったのにwww せっかくwww』

レイちゃんの楽しそうな声が聞こえる。このレイちゃんは、向こうの私といつも一緒なのかなぁ。最近はいつも朝起きてから、ずっと仕事のことを考えてた。レイちゃんにも、難しい顔してるって言われてたっけ。帰りも遅くなるし、心配掛けてばっかりだなぁ。

楽しいことがしたい。レイちゃんと、久々にゲームがしたいなぁ。


それから、たくさん、たくさん話した。未来では楽しく過ごしていること。友達がたくさん出来たこと。技術が進んだこと。シンギュラリティが起きたこと。憧れの存在が出来たこと。

「そろそろ家帰るわ」

『おう』

『じゃあ電話切ろっか』

「こっちのレイちゃんと話さない?w」

『今回はリオちゃんと話す企画だったからねぇ』

『未来で待ってる』

「パクリじゃんw そっかぁ。じゃあね」

『おう。またな』

『忙しい中電話出てくれてありがと! ちゃんと今日はもう帰るんだよ〜』

「うん。もう帰るね。レイちゃんが待ってるから」

『フフww そっちのレイのこともよろしくね! またね! バイバーイ!』

ツ-、ツ-。

「……ありがとぉ。またね」

真っ暗な画面の向こう側にお礼を言う。反射して映る自分は、電話を掛ける前と違う顔をしていた。まるで別人のような、少し懐かしいような。

「リオ先輩〜!」

人事課に電話番号を報告していた後輩だ。今戻ってきたの?

「先輩、探したんですよ!」

「え、なんで?」

「人事に問い合わせて番号調べてもらったんですけど、『212212』なんて番号ないって!」

「ああ、それならもう解決したよ?」

「えあ!? なんで!?」

「しーっ、声がデッカい声が。みんなしてもう……いーの、それはもういーの」

「?」

不思議そうにしてる後輩の顔をじっと見る。

「じゃあさー、もう時間だし、帰ろっか」

「え、私まだ仕事終わってないですよ! リオ先輩終わったんですか?」

「終わってねぇよ? でも帰るの! あ、あと例の案件だけど、あれ私に投げっぱなしじゃなくて、資料くらいは自分でもやってね。人事課で油売ってる暇あったら出来るっしょ?」

「えっ、そんな、リオ先輩!」

「帰っぞ! 早く!」


「ひとりじゃない、って思えたとーきーからー♪」

帰り道。歌いながら、ほんの少し、顔を上げてみる。

未来。

見上げて手を伸ばした指先に、お天道様が輝いて見えた。明日の朝はもっと、忘れられないくらい、晴れますように。



「ふぅー。なんかさぁ、すんごい長くしゃべっちゃったね!」

「…………」

「リオちゃん? リオちゃーん。おーい」ユサユサ

「アアアアアアアア」

「どうしたの?」

「……んー、なーんかねぇ、忘れてる気がするんだよね」

「なにを? 何かしゃべり足りないことあった?」

「そうじゃなくてさ、なんか……リオもあんな頃あったよなぁ? みたいな」

「それはまぁ、だってあれほぼあの頃のリオちゃんだし」

「……んー。なーんかさぁ、疲れちゃったぁ」

「そっかぁ。でもさぁ、楽しかったね!」

「ね! おんもちろかったぁ☆」

[予想→レイ:2分 リオ:1時間]

[結果→1時間08分]

「いぇいいぇいいぇいいぇい!」

「うーん……いやでもねぇ、最初に掛けたときほぼガチャ切りだったからぁ、やっぱねぇここは引き分けっていうかぁ」

「リオの勝ちぃぃぃ! リオの、勝ちぃぃぃぃ!」

「……」

「通じ合ってっから俺たち。ハハ☆」

「うーん……あんまさぁやるとタイムパトロール的な人に怒られちゃうけど、またやりたいね!」

「ンネッ! またやりたい! 次はレイちゃんに掛けよ!」

「それはやだ」

「え……」

「チャンネル登録と、ツイッターフォローもよろしくね!」

「それではまた次回お会いしましょー!」

「「まったねー!」」

「バイバーイ!」

 

 

「ところでレイちゃん、なぁにその変な番号。どゆ意味?」

「シラネ。言わないよ?」

 

END.

 

※これは一個人の妄想です。

ΩSS?

がちゃり。ドアを開けて、誰もいない部屋に2人で声をかける。

「「ただいまー。」」

今日は朝早くから買い物に出ていた。

「さむっ。エアコン入れよー。」

季節は冬。外と変わらない室温に、思わずリオちゃんから声が漏れた。

「寒いねー。でも今日はさぁ、たっくさん買ったよねっ。」

「だいたいレイちゃんのだけど!」

「いやぁ〜動画で開封するの、たんのしみだなぁ〜! いぇいいぇいいぇいいぇいいぇい!」

えぇー、話聞いてないよこの人、という顔をしたリオちゃんを尻目に、買ってきたものを机の上に置く。開封動画は最近視聴者さんの中でも人気が高いし、何より自分自身が楽しみなんだよなぁ。

「でもさー、いま動画撮るの寒いから、部屋暖まってからにしよー。」

リオちゃんの提案に、確かに、と頷く。まだコートも脱げないくらいの室温だし、もう少し待ってもいいかな。


数分後。

「ぜんっぜん暖まらねーなぁ……。」

ソファに座って寒さに凍えながら待っていたけど、一向に暖まらない。

ふとリオちゃんの方を向くと、いつの間にか毛布を二枚着込んでニンテ○ドース○ッチをやっている。

「ちょっとリオちゃん! それ1枚レイの部屋の毛布じゃん! 返して!」

「やぁだ! リオは寒いの!」

「レイも寒いんだけどぉ!」

あまりの寒さにリオちゃんの着ている毛布を引っぺがそうとするも、渡してもらえるはずもなく。

「じゃあ、これでよくね?」

そう言ってリオちゃんは、私をもう一度ソファの片側に座らせた。そして狭いほうの隣に座ったかと思ったら、脚を私の脚の上に乗せて、身体をこちらに寄りかける。そのまま毛布を上からかけて、スイッ○の続きを始めた。

「ホラ。やっぱ俺、天才かなって。」

確かに温かいけど……。

「ゔ、ジャマ……ww(小声)」

「ねぇ邪魔って言わないで!」

そんなやり取りをしながら、気が付けば、心地よい重さと温もりにまどろんでしまっていた。


目が覚める。昼過ぎだろうか。

「寝てたぁ……。」

ふと隣を見ると、リオちゃんもすやすやと寝息を立てている。

「リオちゃん起きてー。動画撮るよー。」

「んー。」

リオちゃんの身体を少し起こす。それに合わせて、寝ぼけたリオちゃんが私の肩辺りを掴む。すると毛布の足元部分が少し浮き、冷気が私の脚を撫でた。

「寒っ!!!!!」

「声デッカ……。」

少し不機嫌気味に起きるリオちゃん越しに、エアコンのほうを見る。機械音は聞こえるから、ついてるはず。なのにこの温度はおかしい。よくよく目を凝らして見てみると——

『 冷 房 18℃ 』

「リオちゃん!!wwwwwwwww 起きてwwwwwwww」

「なぁにレイちゃん!」

「今冷房!!wwww」

「え!? マ!?ww」

その日、少しだけ風邪を引きかけた。

ΩSS

「ただいまー。」

家に1人待つレイちゃんに声をかける。作業用BGMかな? 微かに聴こえるアニソン。玄関からでは曲名までは分からない。

向こうも聞こえていないみたいで、返事がない。ずっと作業してたのかなあ。私は意地でも定時で上がるっていうのに……遅くまでお疲れ様、と心の中で労った。


部屋の前に差し掛かりノックすると、「はーい」と返ってくる。作業を邪魔しても怒らないところは、うちの上司と大違いだ。

「おかえり」

よほど集中していたのか、少しぼんやりとした声と顔を覗かせ、ドアを開けてくれた。

「晩ご飯食べよー」

「お、ありがとー。幕の内じゃん」

「考えんのダルかった」

「いんじゃね? 食お食お」

セ○ンの袋から2人分取り出して、レイちゃんの部屋で食べ始める。何となく、今聴いている曲のことが気になった。

「めっちゃ綺麗じゃん。なに聴いてたの?」

「っこれはねぇ!」

急に目が輝き出す。しまった、どうしよっかな。こうなったら止まらないんだよな。

「2017年新作の『機動戦士ガンダムTwilight AXIS 赤き残影』っていう最近始まったやつでぇ、UCと話が繋がってるんだよね。で、」

正直分からないしちょっと鬱陶しい気もするけど、しょうがない。普段あまり人と接する機会がないだろうレイちゃんの話を聞けるのは、私しかいないから。


30分くらい話を聞いてた。ラプラスの箱がどうとか、ネオ・ジオンとか、宇宙世紀とか、レイちゃんの口からしか聞き慣れない単語を聞き流しながら、ふと時計に目をやる。19:07。

「レイちゃん!」

「何!」

「時間!」

「あ!」

喋っていてあまり食べていなかったレイちゃんが、おもむろにご飯を口の中にかきこんだ。

「ふぎふぇるじゃんもお(過ぎてるじゃんもう)! ぶぼっ」

「え、汚……www」

間抜けな姿に思わず吹き出しつつ、ティッシュを差し出し、トレイを片付ける。普段はしっかりしているのに、こういうところはどうしようもない。


食べ終わったあと、PCからYouTubeを開き、顔を寄せ合って画面を見つめる。観ているのは、かの世界初バーチャルYouTuber、KizunaAIちゃんの動画だ。毎日19時に投稿されているが、今回は観るのに出遅れてしまった。

今日の動画は『【AI】私の本気を見せちゃいます!【人工知能】#134』。KizunaAIちゃんが、AIであることを生かして、他のAIに関連した技術的革新を分かりやすく紹介している。自分を「ポンコツ設定」にしているというメタ的な部分も含めて、癒され、笑いながら2人で観た。

とんでもなく可愛くて、面白くて、分かりやすい。これほど勉強し尽くされたものが、他にあるだろうか。非日常的な憧れを抱きながら、レイちゃんが高評価ボタンを押してブラウザを閉じるまで画面を見ていた。


「アイちゃんの動画ってさ、観てて分かりやすくて面白いし、癒されるよね〜。」

観終わって、レイちゃんが口を開いた。つられて私も感想が口をつく。

「そうだよね〜。なんかα波? が出てる。癒しの波動(?)」

「ゔ、うんww」

「それとさ、すんごい考えられてるよね。」

「たしかにね。なんかさ、自分のAIっていう部分とか、セルフイメージを掴んでて、カスタマーベースが分かってるって感じだねっ。」

「そうそう、わかるぅ。VRもいっぱい使ってるし。」

本人(?)がいないのをいいことに、好き勝手に感想を言う。帰ってから話題を共有出来る相手がいるっていいものだ。

流れで、ボソッと言葉が飛び出た。

「うちらもやりたいよね。」

返事は意外なものだった。

「うーん。じゃあさ、やろっか! 2人で!」

驚いて顔を上げると、そこには真剣に考え始めているレイちゃんがいた。

「基本環境は整ってるから、あとはアレとソレと……PC周り、もうちょい揃えよっかなー……」

「えっ、決断早! いいの? レイちゃん、いいの?」

トントン拍子に進む話に、今度はこちらがついていけなくなり、動揺が隠せない。するとレイちゃんは、さも当たり前かのようにこう言い放った。

「リオちゃんやりたいんでしょ? 作るのはこっちで出来るし、普段一緒にゲームしてる時間とかをさ、そっち回せばいいじゃん。」

物分かりの良すぎる姉のおかげで即決だった。こうして私たちは、バーチャルYouTuberとしてデビューすることが決まってしまった。


さしあたり、決めなきゃならないことがたくさんあるので、レイちゃんと共に企画会議に取り掛かる。口火を切ったのはレイちゃんだ。

「やっぱりさー、コンセプトとか必要だと思うんだよね。アイちゃんみたいにAIだったり。『みんなとつながりたい!』みたいな。」

「わかるぅ。でもさぁ、同じことやっててもアイちゃんになれるわけじゃないし、あんま縛られてもやりづらくね?」

「ね。とりあえず、ユニット名だけ先に決めちゃおっか。」

「おっけー。」

「てことでいくつか考えたんだけど」

「早っ」

レイちゃんが手元のメモ帳に、アイディアをいくつか書き出す。

「どお? リオちゃん他に案ある?」

「うーん、私は——」

言いかけて、レイちゃんのメモ帳に書き出された1つの単語に目が止まる。

「レイちゃん、これ何て読むんだっけ? 『2』が向かい合ってるみたいなの。」

「んーと、『オメガ』だね。双子っぽいでしょ。ガンダムの3DCG作品で『../Ω』っていうのがあってぇ、やっぱバーチャルと3DCGって相性いいのかなーみたいな。あとねぇ、ZZガンダムの時代にも『オメガガンダム』っていたし、1つの外せない要素だと……」

レイちゃんの話を聞き流しながら、スマホで「オメガ」を検索する。

「……オメガシスターズは?」

「! いいねぇ、それ!」

「ね。うちら姉妹だし。あと『Ω』って、ギリシャ文字の一番最後らしいよ。最初が『α』で、最後が『Ω』。」

「『α』……『Ω』……」

たぶん、2人とも同じことに思い至った。

「Ω sisters。決定だね。」

「コンセプトは?」

「αが癒しなら、その対極にあるものは……」

お互いに顔を見合わせる。

「不快」「攻めの姿勢」

ハモらなかった。

「なんで『不快』なの! 不快な動画なんて誰も観ないでしょ!」

「レイちゃんこそ対義語おかしくない!? 『癒し』の対義語は『不快』じゃん! あんたとは意思疎通が出来ねえなあ!」

「この常識知らずが!」

「ばか! もう! ばか!!」

それで今日の企画会議は終わった。


翌朝、2人で軽く作ったご飯を並べて顔を覗くと、レイちゃんは眠そうながらも何かを真剣に考えていた。

その様子を見て、思わず顔に手が伸びてしまう。難しそうな顔ってさ、なーんか触りたくなっちゃうよね。

もちょもちょ。むにむに。ほっぺを揉んだり、眉間を伸ばしたり。

「ねえリオちゃんそれやめてwww」

レイちゃんの表情が柔らかくなる。いつものレイちゃんだ。

「なーに考えてんのぉ。」

「昨日話したことでさー。」

「うん。」

「『Ω』ってやっぱ最後の文字じゃん? だからぁ、『最後の最後、果てまで、攻め続ける』っていう姿勢だと思うんだよね。」

「なるほどねー。」

昨日はケンカのようなものに熱が上がっちゃったけど、アレは家族特有のじゃれあいみたいなもんだ。そこはレイちゃんも分かってると思う。てか眠い。

ぶっちゃけ私は……

「ねえ、リオちゃん。」

「なぁにレイちゃん。」

「2人でさー、色々なことやっていこうね。たんのしみだね!」

「……うん、たんのしみ!」

レイちゃんと、2人で楽しいことが出来れば、何だっていい。


「あ、リオちゃん、1つだけいーい?」

「なぁに?」

「『攻め続ける』って言っても、コンプラに引っかかるのだけはやめようね……!! うんちとか、おっぱいとか! 絶対言っちゃダメだから!」

「なんで私? てか今食べてんだけど。」

のちに自分がコンプライアンスに対してさえ「攻め続ける」ことを、当の私自身すらまだ知らない。

 

※こちらは1個人の二次創作であり、妄想です。実在するバーチャルYouTuberさん・企業・作品とは何の関連もございません。

ガンダム知識がかなり間違っていることが発覚(そらそーや)。レイちゃんごめん。

あけまして大真面目な話。

こんにちは。ゼロサンです。

あけましておめでとうございます。

(大遅刻)


Count0、最悪で最高のイベントでしたね。おめシスはいいぞ。

この年末年始は脳みそが沸騰して限界オタクになりすぎたので、今日はもうバーチャルYouTuberの話抜きの、クソ真面目な話をします。


伊勢神宮へ行ってきました。1人で。

本当は、彼氏も時間が空いていたので、もしかしたら行けたのかもしれませんが、1人で行ってきました。


前は「恋」は良いけど、「愛」は無理なんて話をしていました。

でも何となく、それだけではない気がしていて。これまで、曲がりなりにもお付き合いしたことが、一度や二度でなくあったから。


今の「彼氏」と、これまでの人たちの何が違うんだろうと考えたときに、1つ思い当たったのが、

「彼氏」は「男性」だけれど、これまでの人たちの中に誰1人として「男性」はいなかったことかな、と。


「男性」に迫られたことは、ないではないです。

でもその度に、怖いことや、嫌なことを経験してきました。

無論、「男性」全員がそういう人ではないということも分かっています。それでも、これを語らずして先には進めません。


これまで迫ってきた「男性」は、とても怖かった。

リアル用のツイッターで絡んできた「男性」は、会ったこともないのにいきなりサシ飲みに誘ってきた。俺の「女子大生」というラベルしか知らないのに。

Facebookで出会った「男性」は、俺の顔写真をしきりに求め、住所まで調べ、「家に行く」とまで言っていた(Facebookでは詳細な住所は公開していない)。

現実世界でも、突然俺の乗ってる車のことについて話しかけてきたと思ったら蘊蓄を垂れ始め、「僕の友達がこの車種に興味があるらしいから」とまた会う約束を取り付けようとしてきた「男性」もいた。

挨拶もなしに、道端で電話番号を渡してきた知らない「男性」もいる。人通りの少ない、工場裏の駅までの近道。もう二度と通っていない。


まあしかし俺の感覚としては、今まで「その程度のこと」でした。

そういう「男性」は、生まれたときから、身内という形でずっと側にいたし、そいつに比べたら全然良い。上手くあしらうこともできるし。

周りからは、「俺が同じ目に遭ったらもっと怖いだろうな」と思うことも聞いていました。

だから、こんなことが何かに影響しているって気付かなかった。

そして誰よりも、そんな「男性」たちの気持ちが分かるのは、俺自身でした。


俺の中に、どこか、ミソジニー(構造的な女性嫌悪)な部分があります。

立場の弱い人間、自分に逆らえない人間に対する支配的な……それはやっぱり「愛」だと思っていました。

だから「愛」の中にある「強さ」が、俺は本当に大嫌いでした。

構造的に、男性性を持つ「男性」から、社会的には「女性」の位置に立たされる人に対して向けられる、「愛」の名の下の「支配」が本当に大嫌いでした。

そして俺は、人に対して支配的な「愛」を向けてしまうことに悩みながら、それを向けていたのは常に「女性」とされる人たちだけだったことにも気付きませんでした。


一方、これまで曲がりなりにもお付き合いが出来た(といえるのか分からない)人たちはと言えば、そうして俺を脅かしてくることはありませんでした。ただ単に「好き」を伝え合えて、「会いたいね」と言い合えて、無理に会わなくとも好きであり続けられる。

この、支配の関係にない「好き」の関係を、今まで「男性」と築けたことはありません。


今日突然このことに気付いてしまって、上手くまとまらないけれど、これからこのことに向き合わないといけないと思います。


本当に上手くまとまらなかった……。

それでは。

よいお年を。

こんにちは、ゼロサンです。

今日は2018年最後の日。Count0というVRライブの日です。俺はライブビューイングで参加。

昨日、一昨日のKizunaAIさんのライブも最高だったので、今日も最高に過ごしたい。

 

1年の振り返りとか、そういうのは苦手なのでやめておきます。

記憶の棚の建て付けが悪くて、思い出を掘り起こすの向いてないんだ。

(おめシスのリオちゃん風に言えば、「俺は過去は振り返らねえんだ」!)

 

来年こそは、推しにもっとたくさん還元出来るよう頑張りたいです。

お金ももちろんだし、もっと何か出来ることも探したい。そうでなければ、推しから得られるものが何もなかったみたいになってしまう。

推しに対して、気持ちがいっぱいいっぱいすぎて、どれだけ「好き」と言っても言葉が軽くならないくらい好きなので。

そのエネルギーを何かに換えられたらなあ。

 

将来のことは個人的に色々頑張ります。

 

それでは。

よいお年を!

 

(短い記事も書けるんじゃん俺)

俺にとって「KizunaAI」とは。

こんにちは、ゼロサンです。

今日も今日とて、おめがっております。

予定が重なっておめシスとぽんぽことYuNiちゃんの生放送をリアルタイムで観られなかったですが、アーカイブ観てめちゃくちゃ騒がしくしてました。


おめシスはいいぞ。

俺は、院試の勉強や卒論が孤独でつらかったけど、おめシスの歌を聴いて机にへばりつき、動画を観て癒されて院試に受かった。

(もちろん、周りの人の支えもありました。本当にお世話になりました。)

あとそれから。俺、歌が好きだったのに病気で喉を潰して歌わなくなったんだけど、おめシスの歌を聴いて、最近ツイッターに歌を上げ始めたんだ。

あの2人ってめっちゃ歌上手いのに、いつも楽しそうに歌ってるから、こっちも歌いたくなっちゃうよね。

音程も合わなくなったし、高音も潰れて、歌いたいことが歌えなくなって、歌う勇気が持てなかったんだけど、勇気とかいらないんだなって思ったよ。

おめシスはいいぞ。大好きだ。


さて。

「こんなに『おめシスはいいぞ』って言うし、KizunaAIさんの動画全然追えてないって言ってるし、KizunaAIさん最推しとか嘘やろ?」って人もいると思う。

こう、ブログやツイート全体を見ると、おめシスが人生を豊かにしてくれているように見えるけど、KizunaAIさんは一体お前に何をしてくれたんだ、みたいな。


俺にとって、「KizunaAI」って何だろう?


最初はミライアカリさんや他のバーチャルな存在を観ていたからか、「背景白とか手抜きかよw」って思ってた。

でもそのうち、金平糖みたいに弾けて甘く残る声とか、後輩に優しく接している姿とか、考え抜かれた見た目、可愛い動き、忙しいはずなのにそれを微塵も感じさせないプロ精神なんかに強く惹かれていった。

冗談抜きに「明日死ぬのかな」って思ってたときに、「明日もアイちゃんの動画を観るんや」って思って乗り切った。KizunaAIさんのおかげでたくさんの推しに出会えたし、感謝している。

だから最推しなのだ。KizunaAIさんがいなかったらおめシスにも出会えてなかった。俺が世界一推してるのがおめシスなら、宇宙一推してるのはKizunaAIさんだ。


そして反面、推し関連で許せないこともたくさんあった。


KizunaAIさんは、ジェンダー論をやってきた自分にとって、見逃せない発言を多々している。

「女の子なら」「男の子は」「恋人がいないの可哀想」ということを平気で言うのだ、KizunaAIさんは。


たとえば、おめシスはそういうことを一切言わない。クリスマスも、何も気にせずに最高に楽しめるよう配慮された動画だった。

※おめシスはおめシスで問題に思うところがあるけど、今回はやめておく。


それから、電脳少女シロさんもほとんど言わない。「女の人ならシャンプーのCMみたいに長い髪をふわっとさせたいですよね」的なことを言った(記憶が曖昧。要確認)あとにも、しまったと思ったのか、慌てて「男の人でもいいんですよ」と訂正してた。

それもちょっと引っかかったが、個人的には先の発言を「失言」と捉えてくれたのがナイスだった。


それから、下ネタ寛容系でもミライアカリさんと輝夜月さんでは分かれる。

四天王下ネタ要員のように言われるミライアカリさんは、意外にもあまり言わない。全くではないけど。

しかし輝夜月さんは、血液型然り、結構偏見めいたことを言う。「これは偏見です」というのを示すがごとく茶化しつつだが、たまにキツいことがある。「クリスマス独りぼっち可哀想」とかも平気で言う。


ねこますさんは、まあ……うん。


そんな風に、いわゆる四天王や他の推しでも在り方はかなり異なるが、俺にとってKizunaAIさんは、とりわけ問題があるほうに入る。


極め付けはアレ。いわゆる「KizunaAI騒動」なる呼ばれ方をしている事件。

ざっくりいえば、ノーベル賞の解説を学者(全員男性)とKizunaAIさんが行なうっていうNHKの特集企画だ(雑)。


これがまあ、散々な批判を浴びた。批判の内容は大きく2つに分かれる。

①「萌え」の文脈を引き継いだ性的な見た目のKizunaAIさんをNHKの番組へ起用することに対する批判

②女性(KizunaAIさんは人間の女性として作られたわけではないが、女性に見える見た目)を相槌役に回らせることに対する批判


1つ目に関しては、俺は表象論や美学、メディア論などをやってないのでかなり難しい。しかもキャラクターデザインを担当された森倉円さんが女性であることも、論争を複雑化させた(森倉さんにとってはかなりのとばっちりである)。

俺はこれに言及することは出来ない。ジュディス・バトラーのいう自由意志と決定論との何とかみたいなやつだからだ。

俺はバトラーほどこれを上手くかわせないので。


2つ目に関しては、充分とは言えないまでも、俺も批判した。すごく怒った。推しを性差別的な構造に加担させるようなことをしたことに、「そんな風に推しを使いやがって」と思った。

聞き役や相槌役が重要でない、技術が必要でないなんて話はしていない。KizunaAIさんは、『のばん組』などで観ていて分かる通り、人の話を聞くのが上手いほうだ。でも、『のばん組』のMCでゲストを呼んでそれをやっているのとは違う。

オファーを受けたのか知らないが、それで引き受けた推しにも責任はある。でも、断れないだろうな、ってことも分かるから、推しに対しては何とも言い難い。

もっとも、男性が話して女性が聞き役に回るなんていうのはテレビでも生活の中でも日常茶飯事で、常日頃から俺はかなり問題あるとは思ってるけど。推しに似たようなことさせたから怒っただけで。


それに対して、NHKはどんな反応をしたと思う?

①の問題が泥沼化し始めて、②についてもまともな議論も出来ていない段階で、ミライアカリさんをeスポーツ番組のリポーターへと抜擢した。


一部からは、NHKによる挑発行為のように受け止められた。

ミライアカリさんは、KizunaAIさんと同じくらい露出した衣装(旧衣装だとさらに露出が増える)で、よりセクシーさを強調した見た目となっている。

時期的に、「明らかに挑発である」とは言わないまでも、流石に動きとして多少マズい。騒動を何も知らないはずがないのに。


そのあとどうなったかはもう知らない。情報量も多過ぎるし、自分の意見も他の人の意見も全然納得出来るものがなかったから。


この「KizunaAI騒動」なる呼ばれ方をしている件に関しては、KizunaAIさんが悪いとは言えない。責任はあるが。


批判する人にも、擁護する人の中にも、理不尽な人はたくさんいただろうし、騒動が収まるまで、KizunaAIさんも不安だっただろうと思う。

それでも黙って何も言わずにいたこと、それが良いことなのか悪いことなのか、俺には分からない。


やっぱり、俺にとって「KizunaAI」は、「絆」で「愛」だ。

強くて、でも強く在ることには色々なことが付きまとってきて。みたいな。

最終的にはそういうことになってしまう。


結局最後まで、全然上手く言葉に出来なかった。今日はアイちゃんのライブに行くのに。

言いたいことはまだまだあるのに。リリースした楽曲の話とか、最近の動画の話とか。


もうだって、物販も始まってライブ会場もあと少しで着くってのに、こんな話で終わるなんて。

だから嫌だったんだ、年内には書き終えたいと思って書いたけど、書けるわけかなかった。もっともっと言いたいことがあるっていうのに。


でももうこれ以上は書けないです、諦めます。諦めは俺の最大の武器。


じゃあ、ライブ楽しんできます。

それでは。