zer0-san3’s blog

zer0-san3.hatenablog.comの漢字かな混じり墨字文バージョン。

言葉とは。

 

こんにちは。ゼロサンです。

久々に、真面目な文章を書きます。

 

今朝、夢を見ました。内容は、障害のある子の介助をするというものです。

 

俺は現在、特別な支援や介助を必要とする子に携わる仕事に就くために、大学に通っています。そのため、実習やボランティアの中で、障害のある子どもに接する機会が多いのです。

今回は、その内の1人だったとされる子が登場しました。ただし、夢の中でそのような設定だったというだけで、実在はしません。

 

夢の中で印象的だったシーンがあります。それは、食事介助をしている場面でした。

その子は「ほのか」という名前の高校2年生で、発語なし(喋れない)、座位姿勢は自分では取れず、嚥下(食べ物を飲み下すこと)に介助が必要という障害状況の肢体不自由者です。

 

昼食のスープを飲んでもらうために、抱き上げて、すくって口の中に運んでいました。すると、ほのかさんの方から話し掛けてきました。

 

「先生は、来年も同じクラスなの?」

 

発語なし……なはずなのですが、夢の中なので何でもありなのでしょう。しっかりとした発音でした。俺は初めてほのかさんの言葉を聞きました。

俺は、基本的には発語ありなクラスを担当することになっていて、ほのかさんのクラスには食事介助等の研修で入っていました。なので、ほのかさんが言葉を上手く発することが出来なければ、来年クラスを担当することが出来ません。

言葉は選びましたが、だいたい、そのようなことを伝えたと思います。

 

「どうして?」

 

と、ほのかさんに聞かれました。泣きそうな声にも思えて、事実であれど、不用意なことを言ってしまったとその場で反省しました。

ほのかさんは続けます。

 

「ほのかは、言葉を上手く喋ることが出来ないんだよ。なんでそうなるの? 頑張っても、喋れないんだよ。」

 

何度も、何度も、そんな風に訴えてくれます。それは、「先生と同じクラスになれない」という悲しみではなく、「言葉がないことを責められた」ような嘆きでした。

俺は、そうではないことを伝えたくて口を開きました。

 

「ごめん、俺が悪かった。大丈夫だよ。決して、言葉だけが、コミュニケーションを取る方法ではないんだよ。ほのかさん、いつも先生たちに、いっぱい話し掛けてるでしょ? 目で、手の動きで、声で。言葉がないことが、悪いわけじゃないよ。伝えようとしてくれているから、伝わるんだよ。」

 

そんなことを言いました。そこで、目が覚めました。

 

俺は最近、言葉に執着しすぎていました。まるで、言葉が万能の伝達手段であるかのように。頭では、違うと分かっていましたが……。

Twitterでも、自分の気持ちを、どのように言葉にすればよいかをずっと考えていて。推しにも、どんな言葉なら応援が届くのか、必死に考えていました。

もちろん、言葉は大切です。今後も、やっぱり考えていくのだと思います。

 

言葉は、身体で生きている時空世界と別に、もう一つの時空世界を立ち上げます。って、何かの本に書いてありました。

例えば、「東京タワーを想像して」と言われたら、知っている人ならば、あの赤くて末広がりな高い電波塔を想像するでしょう。

名古屋人に、「夜9時に金時計で集合してたらさ、」と言ったら、JR名古屋駅の中の、サラリーマンや飲み会に行く人が行き交う、金ピカの時計台の広場を想像してもらえると思います。(金時計、銀時計は飲み会や旅行の集合場所としてよく使われます)

それって、VRのようなもので、言葉によって「今ではない時間」「ここではない場所」を "感じる" ことが出来ているんじゃないかなって。恐らく、それが「もう一つの時空世界」なのだと。

この記事を読んでいる人も、声や姿かたちは分からないまでも、自分なりの「ほのかさん」を想像したのではないかと思います。はっきりとした顔なんて、思い浮かばなくていいです。Virtualの意味が「本質的な」であるように、このお話の中で「本質的な」ことさえ汲み取っていただければ。

 

だから俺は、「言葉」というものに、夢を持っていました。随分、長らくのことです。インクの染み、デジタルの0と1、ただの音であろうとも、それが形のない形を作る。それって夢みたいなことじゃないかって。

 

それでも、言葉だけで全てを伝えようだなんて思う必要はない。言葉だけが万能なわけでもない。

目が覚めて、夢から覚めたように思います。

 

今日は、それでは。